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福岡高等裁判所 昭和36年(ラ)148号 決定 1961年10月07日

抗告人 首藤忠雄

相手方 吉岡明

主文

原審判を取消す。

本件を福岡家庭裁判所に差戻す。

理由

本件抗告理由は別紙記載のとおりである。

原審判は抗告人が松島炭鉱大島鉱業所に勤務し、毎月の手取り収入額が一万三〇〇〇円程度であることを確定し、これを前提として抗告人が相手方に対し一ヵ月一〇〇〇円の扶養料を支払うべく定めたのであるが、当審における抗告人に対する審尋の結果によれば、抗告人は原審判のなされた昭和三十六年五月二十九日以前の同月十三日付で自己の都合により右勤務先を退職し、同年九月一日以降失業保険金の支給をうけていることが明かである。

従つて原審判の扶養料算定は、その基礎を失つたのであるから、原審判は不当に帰し、即時抗告は理由があるので、家事審判規則一九条一項に則り原審判を取消して、本件を福岡家庭裁判所に差戻すこととし、主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 相島一之 裁判官 池畑祐治 裁判官 藤野英一)

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